
世界の照明デザイン界の中でも、内山章一はルイスポールセンの「エニグマ」で知られる日本でも屈指の照明デザイナーだ。今年のミラノサローネでは、そんな内山の新作が日本の照明ブランド、ヤマギワから発表された。
LEDの光源が小さなカップのような灯具に収められている。上へ向かう光はフロストシェードで透過拡散され、光の輪が重なりあう。下部へは一方向へ進むLEDの特性を活かし、器具の真下を的確に照らし出す。
通常ペンダントといえばシェードが光源を覆うベーシックなフォルムから、デザイナーはなかなか逃れられない。けれども内山はこの「U-PENDANT」でも、「エニグマ」でも、その縛りをするりと抜けてしまった。これはとりわけ直線的なLEDの光の性質をうまく手のひらで操ったかのような、光の響き合いがすばらしい。

LEDの光の大きな特長は、光の方向が生真面目なほど単一なことである。光に機能だけではなく、ニュアンスを求めるのが人間。ゆえにこの光の指向性が照明メーカーやデザイナーたちを悩ませてきた。それならが、この特長を「光の道」ととらえたらどうか。そんな発想をしたのがこの照明である。
コンクリートベースの中に光源を仕込み、そこからの光が1m以上もあるアクリルのチューブの中を走る。そして明るい光の道が現れる。ステッキのように曲がった先端は、光が曲がっているかのような視覚効果もある。透明なポールはふんわりと光り、周囲に柔らかい光をこぼすかのよう。
間接照明にはまだ難しいとされていた単一な光。その性質を逆手に取ったアイディアには脱帽する。これも個性的なプロダクツで知られるエスタブリッシュド&サンズの製品だ。

これがLED?と思ってしまうほど、トラッドでロマンチックな見た目。球体のガラスシェードの中で、光が乱射して輝く(光源はハロゲン、キセノンも選べる)。2重構造のガラスシェードは吹きガラスの技術から生まれている。固まりきらないガラスの球体に、熱いガラスを滴らせる。そこで生まれた自然なへこみやゆがみが、光を美しく映し出すのだ。そんな「不完全さ」が魅力のデザインと、完璧な光といえるLED との組み合わせはドラマチックでさえある。
シャンデリアタイプの照明にも、どんどんLED光源が採用され始めている。デコラティブな光の輝きもまた、新しい光の質を持つ時代になるのだろう。
最後の2点は電球を紹介しよう。こちらは日本の代表ブランドといえるパナソニックが発表したもの。繰り返し話に出ているように、LEDの光の性質は単一方向に直線的に進むこと。従来の光のように360°の方向に広がりにくいという特長を持っている。この問題を電球の中で解決したのが「エバーレッズ」だ。
これは300°まで光を広げることに成功し、従来の白熱灯電球に匹敵する。その秘密は、電球の内側にある。まず光源の粒を電球の円周にそって、輪のように並べた。さらにリフレクターを二重に設け、光をさまざまな方向に光を飛ばすことで、従来LEDでは光の届きにくかった範囲まで、照らすことができるようになったのである。従来の電球型のシェードを活用することができる。
とはいえ、電球の進化は日進月歩と言われている。これからもその動向はチェックしていきたい。

そしてもう一つの電球がこちら。電球そのものをデザインしてしまったのだ。そんな奇抜な挑戦をしているのが、アレッシイ。キッチンツールで知られる、イタリアのデザインブランドだ。
この電球を見てみてほしい。それだけで彫刻のような、ガラスオブジェのような造形美だ。そうか、電球そのものをデザインすれば、それだけで美しい光の演出ができる。そんな原点を思わされた。
「タムタム」(民族楽器)や「ポラリス」(北極星)やロボットなど斬新なモチーフからデザインされたもの、吹きガラスの技術で作られたものなど、若き3人のデザイナーによって作られている。
この美しい電球たち、まさにフィラメントの縛りから放たれた、LED時代だからこそできたプロダクトといえるだろう。ただの電球とは呼べない、それ以上の何かを持ち合わせている。
日本展開未定