Monthly INTERVIEW トップランナーに迫る

幅允孝、ブックディレクターという仕事。

カフェと融合した「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」、
独自のセグメントを持った「HANDS BOOKS」、国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」など、「本」切り口に新しい場所を生み出す。その仕掛け人がバッハ代表・幅允孝。その成果は「ブックディレクター」という新しい職業をも生み出した。

Profile

幅允孝(はば・よしたか)

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。慶応義塾大学卒業後、カナダ留学、世界旅行を経て、青山ブックセンター六本木店勤務。国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」や、東急ハンズ銀座店の「HANDS BOOKS」などのショップにおける本のディレクションを行っている。ほか編集、執筆、ライブラリー制作など、本周りのあらゆる分野で活動中。毎週水曜日14:20から、J-WAVE「colour your days」にも出演中。




日本初の「ブックディレクター」、活躍の場は無限

ブックディレクターという仕事は、どういう思いから始めたのでしょうか。

もとの発想は本当に単純です。「本屋さんでよく出くわす、困った、とかこうだったらいいのに、を解決して、本と人とのよりよい出会いの場をつくりたい」というところからです。とてもシンプルでわかりやすいでしょう(笑)?  最初に手がけたプロジェクトが、スターバックスと融合した書店「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」でした(2003年六本木ヒルズ内にオープン)。書店内には丸いソファやテーブル、キッズコーナーを設け、棚も出版社や著書で分けるのではなく、内容で組み上げていきました。カフェと本屋の間に線引きをつくらず、コーヒー片手に自由に書架をめぐって、本に思いがけなく「出会って」もらいたいとも考えました。


TSUTAYA TOKYO ROPPONGI

全国からの観光客をはじめ六本木の深夜族までを惹き付けた、これまでにない書店として話題になりましたね。新刊から古書、ジャンルも含め、幅さんの選書眼は本当に幅広いです。

駆け出しの頃、青山ブックセンター六本木店に勤務していて、本の見立て方というようなものが身に付いていったのだと思います。当時、あの書店は独自の求心力を持っていました。僕にとって本は日常なんですよ。出かけたりすると、書店に立ち寄るのが常で、週末でも時間があれば気になる本をチェックします。本を通じて、インテリア、プロダクト、ファッション、飲食など、さまざまな業界の人との輪も広がっていきました。

HANDS BOOKS

その後2004年にバッハを立ち上げ、「BOOK246」、東急ハンズ銀座店内の「HANDS BOOKS」、出版社と書店がひとつになった「SHIBUYA PUBLISHING & BOOK SELLERS」など、個性的な書店を手がけますね。

本だけではなく、内装デザインからカフェ、インテリアショップなど他業種とのつながりが、本に違った価値を与えてくれました。そして僕が特に重視しているのは「サイトスペシフィック」―場所の特性を生かすことです。場所柄やそこに集まる人が求めているものに対して本ができることが、まだまだあるのではないかと。活動の場所は無限にあるように思えました。本をどうやって暮らしや社会に入り込んで行かせるかが、僕の仕事です。