神秘のビール、ランビック。
「クリーク」とよばれるチェリービールは、日本でも目新しいおしゃれな飲料として、人気がある。しかし、その造り方は、ベルギー独特のビール製法「ランビック」という伝統技術に支えられていることはあまり知られていない。小さな国土に110の醸造所、800種類の銘柄が存在するビール王国を代表する製法である。

 ブリュッセル南駅近くにある醸造所「カンティオン」は、多くの観光客が訪れる名所。「神秘のビール」とよばれるランビックビールを100年以上に渡って造り続けていること、古い建物であること、そして名物職人の存在が、その理由だ。

 3代目ジャン=ピエール・ヴァン・ロイ氏は、家族と共に経営する醸造所を、1970年に彼が妻の父親から受け継いだ。「このエプロンは、その時からずっと使っているものだ」と、誇らしげに首にかける。30年以上もの間、ビールと汗、おそらくは涙も染みたであろう使い込みようだ。


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