大森 あと殊能将之(『ハサミ男』13回*1999)、古処誠二(『UNKNOWN』4回*2000)をこの5年くらいに出しているのは評価できる。作品の評価はともかく、清涼院流水(『コズミック』2回*1996)2回*1996)を世に出せたのもこの賞ならではでしょう。乾くるみ(『Jの神話』4回*1998)にはもっと仕事してほしいけど。佐藤友哉(『フリッカー式』21回*2001)はまだちょっと保留(笑)。
豊崎 わたしも好きじゃない、かばう人の気持ちはすごくよくわかるけど。だからって認める気にはならない。あと浅暮三文(『タブ(エ)ストン街道』8回*1998)、古泉迦十(『火蛾』17回*2000)も好きだな。
大森 西尾維新(『クビキリサイクル』23回*2002)なんか、いま爆発的に売れてますね。高里椎奈(『銀の檻を溶かして』11回*1999)も売れてるけど、西尾維新は、もはやノベルス界のベストセラー作家。
豊崎 ええっそうなの? なんで? キャラクター小説なの? 萌え? なんで!?
大森 20代の人には人気あるらしいよ。ぼくは「西尾維新からメフィスト賞がわからなくなった」と言ってますが(笑)。作風は、清涼院流水系なんだけど、流水ほどギャグがすべらないという。
豊崎 ふーん。結構、ギャグ満載なんだ。
大森 ぼくは笑えないけど、田中啓文は笑えると主張しました。ということは、西尾維新は40代には理解できないというわけでもないのかな。最近の若い人の好きなミステリの代表例ですね。オレは若いと思ってるミステリ読みの試金石になるかも。
豊崎 佐藤友哉は?
大森 20代の典型例とは言い難いんじゃないですか? ごく一部に心酔するひとがいる。若手の津原泰水みたいな立場かな。『エナメルを塗った魂の比重』はいいですよ。佐藤友哉は、舞城王太郎とならんでグラース・サーガ派でもある。
豊崎 メフィスト賞は、あたりはずれはあるけど、つい気になる存在。また舞城くんみたいなのが出て来たらどうしようとか思うから。そういう期待感は乱歩賞にはないもん。ファンタジ−ノベル大賞とメフィスト賞があれば、もうあとはどうでもいいや(笑)。
大森 でも打率は低いですよ。当たればホームランだけど。
豊崎 すごく低い。だからわたしね、舞城くんとか別の賞で出てきたら、こんなに熱狂しなかったかもしれない。メフィスト賞だったから、わー!でたーって狂喜乱舞したのかもしれない。
大森 新庄みたいな賞ですね。
豊崎 ホントだ(笑)。乱歩賞はヤンキースでやってる松井くらいの賞。イチローにすらなれないのがつらいとこ。
大森 もっとがんがんホームランが出るはずだったのに、って(笑)。 |