石田衣良インタビュー 「池袋ウエストゲートパーク」という音楽

クラブ音楽好きな人には、メシアンとかライヒとかストラビンスキー

――さて、収録曲への思い入れなどはライナーノーツで石田さんご自身が詳しく書かれているので割愛して、今回はアーティストについてお話を伺いたいと思います。まず、石田さんにとってチャイコフスキーとは?

チャイコフスキーってちょっとベタッってしたところがあるでしょ? 実はちょっと苦手で(笑)、IWGPの主人公、マコトくんに「ストラビンスキーの方が好き」って言わせた。実はこの曲は犯人のイメージなんですよ。パワーのある曲なので一番目立っていますけど。でも、この選曲の中ではチャイコフスキーだけが浮いてますよね。

――ラヴェルについてはいかがですか。


ラヴェルとか僕はスイートだと思いますよ。このラヴェルは叙情的な曲ですが、サラサラでしょ? ベタッとするのは苦手なので。大げさなロマン派より現代音楽か古典が好きなんですよね。文章でも無駄のないものが好きだし。あと、ストラヴィンスキーの「春の祭典」はモダンだと思わない? ロックっぽくもあるし。メシアンについては、ヨーロッパのレイブとかでかかったりするから、日本でもかかればかっこいいなって。現代的でソリッドな音楽だからクラブ音楽が好きな人は、メシアンとかライヒとかストラビンスキーとかが入りやすいと思いますよ。ライヒは原稿を書くのにいいんですよ。ライヒのループのセンスは抜群だから、原稿が進みます。進みます(笑)

――ハイドンとシューベルトについても教えてください。

ハイドンはクリスピーでさくっとしてますよね。理知的で頭のいい人だと思います。シューベルトはあんまり得意じゃないけど死に方が好きなんだよね(笑)。30歳で性病で死んじゃうっていう。

――バッハについてはいかがですか?


この「マタイ受難曲」は、「サンシャイン通り内戦」(『池袋ウエストゲートパーク』所収)を書きあげたとき、無限ループでかけてた思い出の一曲ですね。マタイのスケール感の大きさと最後のクライマックスがシンクロしてたんだと思います。〆の一曲としてもすごくいいと思いますよ。
(青山にて)

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