インタビュー阿部和重、世界の構造を描いた、群像劇『シンセミア』は僕なりの決定打

 ――時代を共有しているからシンクロする


阿部和重
――阿部さんの作品は現実社会とシンクロする部分が多かったりして、それで語られることも多いですよね?

阿部 『シンセミア』は特にそうで、現実に起こった事件とシンクロするものが多かったですね。小説より事件の方が後のこともあれば、先のこともあるのですが、同時進行で起きているから、ニュースを見ながら書いているように思われるのがすごく嫌でした。特に『ニッポニアニッポン』のとき、「現代の事件をすべて投入して…」というようなことばかり言われてしまったので、『シンセミア』でもまた同じことをやってると思われちゃうとちょっと心外だなという面はあります。 ただ、僕はやっぱり、今、この時代の中で書いているわけなので、時代からは切り離すことはできないんだろうなとも思います。

――ニュースはよく見られるのですか?

阿部 ニュース専門のサイトや新聞記事をピックアップして載せているネット掲示板を読むことから一日が始まります。だいたい一日に三回くらいはチェックしていますね。そればっかりやってるとウチから出られなくなっちゃうんですよ(笑)。テレビは、最近はあんまり見ないかな。見ることもありますけど、基本的にはネットをずっと見ています。

――それは半ば職業的に見ていると思っていい?

阿部 半々ですね。最初は好奇心だったものが、どんどん仕事に生かせる方向に向かったという感じです。 僕は97年からインターネットを始めたんですが、その頃って掲示板が本当に面白かったんです。なかでも興味深くチェックしていたのは新聞記事を貼り付けていくタイプの、陰謀論系のサイトだった。そこから情報を追ううちに、ネタに出来そうな記事が見つかったりもしたし、陰謀論系の知識が自然に身について、作品にも生かせました。 実は、そうした僕の日常の延長線上として書いたのが『ニッポニアニッポン』なんです。つまり、あれは普段の僕をそのまま出した(笑)。もちろん、僕はストーカーとかはやってないですけど(笑)。

(2003年10月16日 三宿にて 取材・文=加戸智子)


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