
大森望 |
芥川賞はやっぱり阿部和重かあ。素直に本命に乗っかるべきだったなあ。高配当を狙いにいって敗北。今回は余計なことを考えすぎました。反省。
大手メディアはストーリー紹介をどうするんだろうと興味津々だったんですが、NHKニュース7の畠山智之アナいわく、「特殊な性的趣味を妻に知られて離婚され、失意のうちに田舎に戻った男性が、ひょんなことから頼まれた女子児童への演技指導を通じて、現実とのつながりをとりもどしていく様子を描いた作品です」だって。
まさかそういう小説として授賞したわけじゃないと思いますが、せいいっぱい角が立たない要約――なのか?
この作品が単独で高く評価されたのか、『シンセミア』その他の赫奕たる業績と合わせ一本だったのかは選評を見ないとわかりませんが、遅すぎた授賞でも授賞しないよりはマシってことで、新潮新人賞選考委員・阿部和重の芥川賞獲得をそこはかとなく喜びたいと思います。
直木賞のほうもガチガチの大本命が来ちゃったので配当は低め。馬券買ってたら、芥川賞のマイナスと合わせてギリギリ赤字を免れたくらいでしょうか。《文藝》春季号の角田光代特集は鋭かった。
『対岸の彼女』について、対談ではいろいろ文句言ってますが、評価はAの最高点をつけてるとおりで、作品的にも作家的にも順当すぎるほど順当。めでたしめでたしの結果でした。伊坂、本多、古処の若手トリオはまだまだこれから何度でも候補になるだろうし、福井晴敏もたまに短いものを書くようにすればチャンスはあるはず。
しかしどうして選考にあんなに時間がかかったのか。これから選考経過を取材するのが楽しみです。
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