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検証!バカ売れ『バカの壁』

『バカの壁』はどう読まれたか

――初版の部数はどのくらいで?

後藤 初版は3万部ですね。

――それは新書の部数としてはかなり多いですね。

後藤 ええ。ふつうは、2万部以下ですよね。ただ、創刊ということもあるので、『バカの壁』に限らず、初版部数は多くなっています。3万というのは、創刊を大きく打ち出すためと養老先生のふだんの人気を考えた数字ですけど、創刊ライン・アップのなかでこの本だけが特別多いわけじゃないんです。

――どのくらい売れると思われていたんですか?

後藤 初版部数が多いので、増刷がかかればいいなと思ってました。あと、新書は5万部いけばベストセラーといわれてますから、そこに届けば……

――ところが、今年一番のミリオンセラーになってしまった。
「バカの壁」に続け その3
『いちばん大事なこと――養老教授の環境論』(集英社新書)
できたてのホヤホヤ。企画自体は2年前から進んでいたらしい。他の新書に比べると、テーマを絞っているだけに中身は濃密。養老先生の「本気」度も高い。

後藤
 ええ。実際、本が並ぶと売れ行きがすごくよくて。出してすぐ、新書のランキングでトップになりました。すぐに2万部増刷、そのあと5万部の増刷。およそ1か月ぐらいで目標の5万はクリアして10万部に。


――なんともうらやましい。後藤さん、単行本の編集は……

後藤 はじめてです。


――どでかいのをつかみましたね。

後藤 円広志とか久保田早紀になるんじゃないかと(笑)。

――読者層に特徴はあるんですか?

後藤 地域、年代、性別選ばず読まれているようです。新潮新書は、中高年男性がメインターゲットだと思っているんですけど、この本の場合、ある時期に調査してみたら45%ぐらい女性だったんですね。

――国民的新書になってますね。広告や宣伝でなにか仕掛けたとか?

後藤 うーん、新潮新書全体で創刊キャンペーンは大々的にしましたけど、『バカの壁』だけを特別扱いにはしてません。ただ、5月25日に朝日、読売、毎日の三大紙に同時に書評が掲載されたんです。もちろん、仕掛けなんてしませんし、そもそも狙ってできないでしょう。朝日は中条省平さん、毎日は島森路子さん、読売は斎藤美奈子さんがコラムで触れてくれました。

――錚々たる方々ですね。それは効果がありそうな……。

後藤 そうですね。弾みはついたと思います。いろいろな方の書評を読んでいて面白かったのは、みなさん印象に残っているところが違っているんです。情報は変わらないけど、人間が変わるという部分を面白いという人もいれば、脳内の一次方程式が面白いという人もいました。

――いろんな話題が詰まってますからね。読者からはどのような感想が届いてるんですか?

後藤 「読んで気が楽になりました」というお手紙をいただいたことがあったんですよ。「バカの壁」で絶望したり、腹を立てたりせず、むしろそれを前提としたほうが気が楽になったりするんじゃないか、という記述があるんです。そういうところも本書の魅力かもしれませんね。 若い人だと、授業を受けているみたいだという感想も。本筋と関係ない話がポコポコ入ってるんですよ。まじめな人は怒ったりするんですけど、脱線が多い授業のほうが人気があったりしますからね。

――売れたあとに、ドカーンと宣伝を打ったり、キャンペーンしたりはしなかったんですか?

後藤 ほぼやってないに等しいんですね。できるもんならしたいんですけど、新書ってパッケージも地味だし、そんなにスキャンダラスなことがつまっているわけでもない。基本的にオーソドックスで地味な本なので、面白いからワイドショーでやりましょうとかありえないわけですよね。養老先生に脱いでもらうわけにもいかないし(笑)。 宣伝は、大手紙に二、三回ほど大きくだしただけで。大掛かりなのはそれくらいです。朝日の広告は、宣伝部の人と打ち合わせてユニークなものにしました。

――あ、それは覚えてます。けっこうインパクトありました。

後藤 いろんな週刊誌や雑誌が、見出しにつかってくれたのも、PRにはなったと思います。

――書名が一人歩きして、流行語みたいになったんですね。

朝日新聞に掲載された広告。スペースを割って、すべてを『バカの壁』にしている。
朝日新聞に掲載された広告。スペースを割って、すべてを『バカの壁』にしている。

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