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徹底検証! 医者漫画
『ブラック・ジャック』の末裔たち
佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』が475万部突破! TVドラマも放映直前! 最近、やたらに医者漫画を目にします。手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』連載から今年で30年。長い時を経て、ブラック・ジャックの末裔たちはどんな進化を遂げているのか?
命名! ショック医者漫画
青年コミック誌で現在イキがいい医者漫画といえば、佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』(講談社『週刊モーニング』連載)、そして、乃木坂太郎(原案:永井明)『医龍』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)、この2作であろう。
この2作に共通するキーワードが「医局」。それはなんだ? 広辞苑(第四版)で引いてみる。
い‐きょく【医局】 医務を扱う部局。また、病院などで医師が詰め控えている室。
うーむ、これだけではわからない。Googleなどを使い、検索してみた。
(……検索中……)
ふむふむ、すごく乱暴にいってしまえば、大学のゼミやら研究室の医師バージョンで、強力な縦割り封建社会として医師たちの一生を左右する。「医局」に所属しなければ、大学病院はもとより民間の病院にも勤めることはむつかしい。主任教授をその頂点とする縦割り社会「医局」は、医師の研修・生涯教育、医師派遣による地域医療の維持などに一定の役割を担ってきた半面、政治的思惑による「医局の壁」が病院内での連携した治療の妨げや、隠ぺい体質の背景となる現状もみられる。そんな感じでしょうか。
よし、漫画へともどります。まずは佐藤秀峰
『ブラックジャックによろしく』
。
痛い! とにかく痛い! 心に突き刺さってくるようだ! この作品をショック医者漫画とジャンル分けしてみたい!
主人公である研修医、斉藤英二郎は名門永禄大学医学部を卒業してわずか3ヶ月、附属病院にて研修医生活をはじめたばかり。技術もなければ経験もなく、医者としての覚悟も足りなければ、現状認識すらも甘い、ついでに金すらもない(月収3万8,000円!)青年が情け容赦なく医療の現場に叩き込まれたとき、どんなことを感じるのか? というか、自分ひとりでぐるぐるしないで、同じ立場の友人たちともっと仲良くしろ! ディスカッションしろ! と忠告したくなりますが、やはり医者には向いてないのでは!?
理想と日本における医療の現実とのギャップに苦しみ、悩み、けっきょく独断で暴走してしまう斉藤はたいへん痛々しく、見ていてつらい。しかし、そんなストレートすぎる彼の行動が読者の心にぐさり突き刺さってくるわけで、うーむ……。いかがなものでしょう?
マックス衝撃を与えることで日本の医療に関する問題を読者に突きつけるという構造は、じつは、ももち麗子の
『問題提起シリーズ』
とほぼ同じなんじゃないのか? と思ったりもしました。
「生命を救いたい!」 → 「何もできない、自分は無力だ……」 → 苦悩 → 涙、そして鼻水 という流れについては、海上保安官を描いた前作
『海猿』
(全12巻)とほとんど共通したもので、医者漫画というよりは、佐藤秀峰作品の主人公=研修医バージョンなのでしょう。あれ? いきなり意外な結論。
ブラックジャックによろしく公式Web
お次は、乃木坂太郎(原案:永井明)
『医龍』
。
切って切って切らなければ能力は上がらない! かつて、NGOキャンプで医療チームを率いていた天才外科医を日本の医療現場に放り込んでみた、はたしてどうなる? という作品で、世界的な視野から日本の医療における暗部を浮き彫りにしてみせます。「医者の数が多すぎて、研修医が手術を経験できない」という現状などなど。「外科医は、死なせた数だけ成長する」などという大胆な発言までも飛び出してきます。言い切ってしまうところが素晴らしい。答えが出ない問いをえんえんと繰り返しているような『ブラックジャックによろしく』とは正反対に、世界医療の常識を持って日本医療の腐敗を切って捨てていくダイナミックな展開は読んでいてとても爽快です。若くして「医局」の掟に染まろうとしている研修医、伊集院をもうひとりの主人公として据えるという設定もうまい。
さて、「医局」から遠く離れた絶海の孤島を舞台にした作品もついでに紹介してみましょう。山田貴敏
『Dr.コトー診療所』
。
本土から船で6時間かかる古志木島の診療所にやってきたDr.コトーこと後島健助は気弱でおとなしそうな外見ながら、じつは天才的な腕を持った外科医だった! 医療設備もほとんどない診療所で脳外科手術をやってみたり、漁船の揺れる船上で子供の腹部切開してみたりと、淡々ととんでもないことをしているような気がします。「医局」における諸々のしがらみとは無縁であるかわりに、島民との心の交流もまた作品テーマのひとつとなっていますが、それにしてもこの漁師連中の閉鎖性はなんとかならないものでしょうか? 女子供は協力的なのに……。かなり衝撃的なレベルの恩知らずっぷりで、「医局」から遠く離れようが結局苦労するんじゃないのか!? という気がちょっとだけします。
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『ブラックジャックによろしく』(〜4巻)
(佐藤秀峰/講談社『週刊モーニング』連載)
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『医龍』(〜2巻)
(乃木坂太郎 原案:永井明/小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
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『Dr.コトー診療所』(〜9巻)
(山田貴敏/小学館『週刊ヤングサンデー』連載)
徹底検証! 医者漫画 『ブラック・ジャック』の末裔たち
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