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女たちが、おじいさんに萌えている
おばあさんが好き
さて、次はおばあさんである。どんな本が売れているのか、またもや
渋谷BOOK1st.
の文芸書担当、林香公子さんを訪ね、お話を聞くことにした。
「生々しさがないものが、好まれているんじゃないでしょうか。それと昔のものへの憧れ」
と、林さんがまず取り出したのが、
『待つこと、忘れること?』
(金井美恵子著 金井久美子絵)。
「とくに事件が起こるわけではない、他愛のない生活の話が求められている気がします。 そこで、おばあさん的なテイストが好まれている。これは、本をよく読む20代から30代くらいの女性に顕著な傾向でしょう。金井美恵子はまだ50代ですけど、なんでもない日常生活が読みたいという欲求に応えたエッセイで、よく売れています」
そういえば、
『センセイの鞄』
のダラ〜っとした展開もそんなところがありますね。
「同じ読者層だと思います。あと、今、レトロなものがオシャレなんですね。おばあさんの知恵、生活に関心が集まっているのはそのせいもあるでしょう。幸田文、沢村貞子のエッセイもよく売れます。おばあさんが出てくる小説だと、梨木香歩の本が売れ続けています。児童向けですが
『西の魔女が死んだ』
とか」。
登校拒否の中一の女の子が、おばあさんの家に預けられて、生活の知恵を授けてもらう話ですね。ベッドメイキングしたり、ジャムつくったり。
「でも、今までの児童小説と違って、おばあさんも問題を抱えてるんですよね。たとえば、近所のおじさんとの付き合い方を見て、主人公の少女は不満をもってたりする。でもそれを解決しない。たいそうな問題にしないで、どう現実と折り合いをつけて生きて行くか、みたいな話なんですよね。同じ作者の
『からくりからくさ』
は、4人の20代前半の女性たちの同居生活を描いているんだけど、まるでおばあさんの共同生活みたいじゃないですか?」
確かに。4人とも染色や機を織る勉強をしてるし、庭の野草を食べたり、やけに枯れた生活をしてる。おばあさんになりたがっているように読めますね。
「一応、男性問題も起きるけど、あまり盛り上がりませんよね。性の問題があまり重要視されず、ダラダラと日常に紛れ込んでいく。そのへん、若い女性は読んでて心地よいだと思うんです」
それはまさに、おばあさんの境地ですよね。
「そう、おばあさん的な感覚に共感している、じぶんもそうありたいと思ってる。一方で、たとえば宮台真司が規定するようなセックスの肥大した女性論があるけれど、それがちょっと古めかしくなっている気もします。そんなこと、取り立てて言わなくてもいいじゃないかという気分になっているんですね」
渋谷BOOK1st.
文芸書担当 林香公子さん
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『待つこと、忘れること?』
(金井美恵子著 金井久美子絵/平凡社)
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『西の魔女が死んだ』
(梨木香歩/新潮社)
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『からくりからくさ』
(梨木香歩/新潮社)
もっとあります、おばあさん小説
『鍋の中』
(村田喜代子/文藝春秋) ある夏の日、ひとりぐらしのおばあさんのもとに、孫たちが集まる。おばあさんの昔語りに翻弄される少年少女の「怯え」の中にたちあがるおばあさん像の鮮烈さ。おばあさん、かっこいい……。芥川賞受賞作。
『ポプラの秋』
(湯本香樹実/新潮社) 父を交通事故で亡くした母子が引っ越してきたアパートの大家さんは一見コワイおばあさん。おばあさんはあの世とこの世を結ぶ郵便屋なのだという。少女は父への手紙を書きはじめ、届けてもらう約束をする。泣けますよ。
女たちが、おじいさんに萌えている
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