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――キャプテン・ハ−ロックに関して歌の話題が出ましたが、『ナショナリズム』のほうでも、歌がずいぶんと取り上げられていますね。
浅羽 小学唱歌から軍歌、寮歌、校歌、革命歌、労働歌、社歌を経て、反戦フォ−ク、アニメソングまでを展望する「正義の音楽」って本を書きたいとずっと前、構想したんですよ。ちょこっとは資料も集めていたりしたんですが、結局、今度の『ナショナリズム』で、ネタの大半は使ってしまいましたね。残るは、「デイビ−・クロケットの歌」の日本語カヴァ−・バ−ジンくらいかな。原詞の「自由のための戦い」が「国のため」って訳されてるんですよ。戦後のロカビリ−の頃なんですけどね。
アナ−キズムのからみでは、戦後の殊に高度成長以後の日本共産党が、日教組の女教師たちの党みたいになっちゃって、一種の童心主義をはらむようになる。いわさきちひろの旦那は、共産党大物代議士でしたよね。何かの調査で支持政党別好きな歌をアンケ−トしたら、共産党シンパはインタ−ナショナルじゃなくて「小さい秋みつけた」だったんですよ、たしか。でも作詞者のサトウハチロ−は、大正時代、浅草のアナ−キストです。他にも小川未明とか竹久夢二とか、日本の童心はアナ−キストによって造形されてきたんじゃないかっていう疑いがある。大杉栄やその同志にも、「赤い鳥」風のセンチメンタルな児童詩がありますよ。
――歌に注目したのには何か理由が?
浅羽 私は定型詩が好きなんだな。唱歌も軍歌も子供の頃から好き。中学時代、鉄道唱歌全部歌えたもの(笑)。土井晩翠や佐藤春夫も好きです。短歌や俳句も好き。こないだジュンク堂書店のPR誌に自著についてエッセイ書けといわれてさ、稿料が図書券だけだったんで、どうすればコスト・パフォ−マンス最大に出来るか考えて(笑)、俳句まがいを50句並べたの。そのまま載っちゃった。いやあ恥ずいねー。恥ずかしいよー。
――読者としては今後の浅羽さんの刊行予定が気になりますが…?
浅羽 このシリ−ズは『ジャ−ナリズムの思想』を考えてたんだけど、ちくまのPR誌に「えたひにん」って書いたらだめだって没っちゃてさ、差別する自由を禁じられたら思想なんて論じられませんでしょ。だから全てペンディングとなりました。
他には、「昭和30年代主義」というテ−マを考えてます。昨今の懐かしいブ−ム、レトロ・ブ−ムの背後に、右肩上がりの終焉以後の日本人の生活と消費をめぐる新しい価値観の模索を観ようというでっちあげ企画です。このテ−マ、「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモ−レツオトナ帝国の逆襲」で私と同年生まれの原恵一監督に一番槍をつけられてしまいましたが、文章でアプロ−チした人はまだいませんから。
あとは、法科大学院の未修者入試の小論文試験がね、おもしろいんです。現代思想や公共哲学をネタに出題されててね。そのへんを解説した受験参考書書いたら売れるんじゃないかと今、考えてて。てっとり早く、お金になりそうなのは、とりあえずこれかなあ。
新書2冊書く2年間、他の仕事ほとんど出来なくて、ほんとに金欠なんですよ(笑)。 だから、卑しい考えしか浮かばないんです。すいません。
――今日はどうもありがとうございました。
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