インタビューコージィ城倉--読みやすさの原点に立ち返る。それが『おれはキャプテン』

コージィの野望・仕事編 ネーム派作家コージィ城倉
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コージィ城倉
 
――2003年は『ティーンズブルース』の連載を続けながら『ショー★バン』の原作を担当、さらに『おれはキャプテン』がスタートするなど、週刊連載3本という超ハードスケジュール。凄い精力的な仕事ぶりに驚かされましたが。

城倉 瞬間的に5本重なっているっていう時期も1か月だけありました。昔のマンガ家の人はそういう人けっこういましたけど、、「サンデー」を見ても「マガジン」をその人が載っているというのも、夢みたいなところはありました。

――これだけ忙しいと外に出るヒマもないんじゃないかと思いますが……。

城倉 外にはけっこう出てますよ。ネームやるときはわりと遊んでますね(笑)。今子どもが2歳なんですけど、ネームをやるときは連れて公園とかデパートに行って、子供と嫁さんは遊ばせといて、自分は喫茶店でネームをやる。ときどきネームを休んで子どもをあやすのもいい気分転換になりますし。自分はずっと一ヶ所で作業するのは苦手なほうで、ネームも一ヶ所でやってるわけじゃないです。デパートなんかだと、各階に喫茶店があるので、それをハシゴしながらネームをやったりしてますね(笑)。

――描くのは速いタイプなんでしょうか。

城倉 そんなことはないです。描くのは遅いし仕事するのもつらいタイプ。でも頑張っちゃおうかな、と。現在は週4日で絵を入れて、残りの3日でネームを書くというサイクルです。それ以上はできないかな。

――描きためはするほうですか?

城倉 しますね。できちゃうから。お話がある程度進んでいたほうが編集部にもこっちの意図が伝わりますし。『おれはキャプテン』も連載が始まる前に2パターン作りましたよ。片方が今のやつで、もう片方がサッカーマンガで。

――『おれはキャプテン』サッカー版があったのですか。それは驚きです。

城倉 サッカーもやってみたいんですよね。あんまり分からないから。そのスポーツを作者がよく知ってるよりも、知らない奴が描いたほうが分かりやすいのができるんじゃないかと思うんです。ちばあきおさんの『プレイボール』でも、タニグチくんが最初サッカー部に入りますけど、アレなんか最高に分かりやすかったですよね。グラウンドの端から端にダダダダタ……って。それは絵としてはカッコよくはないけど、そのぶん分かりやすい。自分が描いたらそういうのができるんじゃないかなと思います。『おれはキャプテン』をやってるから当分は無理でしょうけどね。

――絵を描くのとストーリーを作るのではどちらがお好きなんでしょうか。

城倉 マンガ家を絵派とネーム派に分けるとしたら、自分は完全にネーム派です。絵を描くのは遅いけど、ネームはできちゃう。アイデアはいっぱい出てくるから。連載はやろうと思えば2本くらいは並行できる。原作だけならもっとできるかな。

――作品の構想はどういうふうに作られているのでしょうか。

城倉 それはいろいろですね。最後から作るのもあるし、とにかく最初だけ作っちゃうというおのもある。タイトルだけ先に出てきて、そこから作っちゃうのもある。『愛米(ラブコメ)』なんかはそうでしたね。ラブコメマンガはいっぱいあるけど、ズバリ「ラブコメ」というタイトルの作品はないので、描いてみたかった。で、読んでみたら「普通のラブコメとは違うじゃん!」というのをやりたかったんです。

――「森高夕次」というペンネームで原作者としても活躍中ですが、原作はどのような形で作画者の人に渡しているのでしょうか。

城倉 原作はネームの形でやってます。自分でマンガを描くのと同じようにネームを切って、それをファックスで作画者の人に送るという形です。ただコマまで割っちゃうので、オリジナリティを発揮したい人にとっては手枷になるかもしれないし、編集者に「そこまでやるのはよくない」といわれたこともありますね。でも逆に絵の遅い人は助かる。『ショー★バン』の松島さんは、絵が遅いタイプなので、そこはニーズが合致してるといえるでしょうね。

――自分で絵を描くときとペンネームを変えているのはなぜでしょう?

城倉 別に隠すというスタンスではないけど、二足のわらじというイメージでいかないほうがいいのかなと思ったんです。どっちも中途半端みたいなイメージでとられたらイヤなので、マンガと原作はまったく別人格という設定にしてます。

――原作と自分で描くのではどちらがいいですか。

城倉 原作だけやってるほうがいいですね。でも自分で描くという快感もある。思い通りに描ける気持ち良さというか。でも他人に絵を描いてもらうと、それはそれで自分が描いたのとはまた違う味が出てくるので、それを見る楽しみというのもまたあるんですが。アイデアはいっぱいあるんです。だからそれを発表したいという欲求が一番強いですね。『ショー★バン』と『おれはキャプテン』も、自分で両方絵まで描こうと思ったらどっちかはできなくなるわけで、現在の状況は自分の表現したいという欲求が発散でてきてて、いい循環になってます。

――ストーリーを作りたいなら小説という手もあると思いますが、そっちを書いてやろうという気はないですか。

城倉 小説家の領域には立ち入れないし、そこまでの文才はないです。お話を考えられるというのと文才とはまた違うじゃないですか。あとマンガ家の中には映画監督をやってみたいという人もよくいるけど、そういう気持ちもないですね。マンガに対する思い入れもあるけど、「自分で考えたことはマンガでやっちゃったほうが早いじゃん」っていうのもありますから。

――やはりマンガが自分には向いているということなんですね。

城倉 自分にとってはマンガっていう発表形態がベストというか、それが一番ステキだと思うんですよ。マンガはぐーっと読んでいって、時間に縛られずに、いつでも読み返すことができる。小説の場合は、読みたいところを探すのに時間がかかったりしますけど、マンガは絵だからすぐ読みたいところに戻れる。マンガはそういうお手軽さ、いい意味でのチープさのあるメディアだと思います。そういうメディアへのこだわりはあるし、そこでこれからもストーリーを作り、物語を展開していきたいという気持ちはありますね。
愛米
『愛米』(小学館ヤングサンデーコミックス 全5巻 1997〜1998)
おさななじみでありながら、片やアイドルオタクである米夫(通称コメ)、片や学園のアイドルでありスターと交際中の愛(通称ラブ)の、まったく釣り合いのとれない二人の奇妙な関係を描いたストーリー。ラブは外っ面はものすごくいいが、かつて自分がコメのお嫁さんになりたいといってつきまとっていたことを人生の汚点としており、何かにつけてコメをボコボコにしていじめまくる。タイトルは「ラブコメ」であるが、ラブコメであるようなそうでないような怪作。
コージィ城倉のネーム
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■これが『おれはキャプテン』のネームだ! ネーム帳は、ミッフィーちゃんのおえかき帳を愛用(机のうえに表紙がちょっと見えてます)。お子さんが生まれる時、長い待ち時間中にネームを描こうと適当に病院のおみやげショップで買ったところ、紙の厚さや鉛筆の定着率のすばらしさに感動。以来、ミッフィーショップでまとめ買いして切らさないようにしているそうです。

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