インタビュー内田樹、構造主義がこんなにわかっていいのかしら

大学在学中は就職活動厳禁
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友人の精神科医、名越康文さん(右)と
学者の話をしましたから、今度は学生のほうの話を。勉強をなんのためにするのか、という問いがありますけど、答えはとてもシンプルで、「勉強は楽しいよ」と。

大学院に来る学生が、「大学院で資格取れますか」「何か専門的知識が身につきますか」と尋ねてくるんです。僕は、「修士号は取れるけど、大したご利益があるわけじゃないし、専門的な知識だってあんまりつかないね」と答えます。「じゃあ大学院に入ると何がいいんですか」って言うから、「勉強はすっごい楽しいよ。大学院に入ったら一日中勉強していいんだよ。大手を振って勉強できるんだよ。こんな楽しいことないよ」って(笑)。

大学が、資格を得る場所などと考えるからいけないのであって、小学校に入って、字を習って新聞が読めるようになったときって楽しかったでしょう。英語を習って英語の文章を読めれば楽しいに決まっている。知識を身に付けて、世界の見え方が広がっていくのってものすごい気持ちのいいことなんだから。気持ちのいいことをまず味わわなければいけないんですよ。
だから僕はいつも言ってるんですけど、大学在学中は就職活動厳禁。卒業してから考えなさいと。企業も新卒採用をやめましょう。我が社には、在学中から就職活動をするようなヤツはいらん、卒業してから1年以上社会経験をしたやつでないと雇わん――そういう先見的な企業が出てくれば、大学もずいぶんよくなると思うんですよ。大学機能の回復のために、企業の協力は不可欠です。

漱石の『三四郎』を読んでも、卒業してから「どうしようかな」って考えているんですよね。「卒業」のダスティ・ホフマンも、卒業したあとに家に帰ってきて、これからどうしたものかと考え、それから冒険の旅がはじまる。だから、大学にいる間は、大学で勉強する。卒業してから夏休みぐらいまで、みんなでぼーっとして、うろうろすればいいんです。のんびりいこうという時代なんだからいいじゃない、それぐらいしたって。

(取材・文 斎藤てつや/サイトー商会

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