インタビュー嶽本野ばら、乙女とはハードボイルドなのです

ソウル・メイト(魂の伴侶)を探し求めて。
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――メディア・アクティビストだけあって、デジタル作品を発表されるのも早かったですね。

辛酸 高3のときに親がMacを買って、最初はゲームしかしてなかったんですけど、大学生の頃にハイパーカードというソフトを知ってから、簡単なアニメのようなものをつくってフロッピーに入れて売ってました。タコシェとかフロッケ展(フロッピー作品の展示販売イベント。デジタローグ主催)とかで。

――アーティストの中ザワヒデキさんのところで辛酸さんがアルバイトされているときに、わたし(平林)は初めてお会いしたのですが。93年ごろですね。

辛酸 引越しのお手伝いに行ったのがきっかけで、学生生活のかたわら、中ザワさんの仕事場でバイトするようになりました。中ザワさんは当時「JAPAN ART TODAY」というフロッピー・マガジンを発行されていて、私の仕事はそれをひたすらコピーして増やしていく仕事でした。袋詰めしてラベルを貼って。その頃、同時に「ペッパーショップ」(古賀学さんが創刊したアート系フリペ)も手伝っていました。

――学生の頃から精力的に活動されていたんですね。ところで、池松江美さんの創作活動としては「秘宝づくり」は有名です。「秘宝手帖」(「スタジオボイス」に連載)は「新・秘宝手帖」(「カエルブンゲイ」連載中)として連載が続いていますが、「秘宝づくり」をはじめようと思ったきっかけは?

辛酸 はじめてつくったのはたしか10年くらい前の「ウィリアム・テル・カチューシャ」(リンゴの乗ったカチューシャ)でした。

――「生死を賭けたウィリアム・テルごっこで、メメント・モリ気分を味わう」という作品ですね。

辛酸 「世の中にこんなものがあれば……」と思いついたときに具現化しています。私にとって秘宝づくりは、「これがあればもっと生きやすくなるのに……」というものを自分や誰かのためにつくることです。

――秘宝づくりの魅力とは? 発明好きはどこから来ているのでしょう?

辛酸 何もないところから今までなかった作品を形にする産みの喜びです。発明好きは、もしかしたら両親が出会った最初の職場(特許庁)に起因しているのかもしれません。

――ところで、辛酸さんの今年のテーマは「ソウル・メイトと出会うこと」だそうですが、ビビビッとくる人とはもう出会えましたか?

辛酸 まだです。でも、サイン会のときに、小さく折った紙を手渡してくる男性がいて、「僕たちはシリウス系の……」とか「節目の年に出会えてうれしい」とか書いてあって、その人の目が真剣だったのでちょっと怖かったですが、楽しかったです。

――ソウル・メイトに興味をもつようになったきっかけは?

辛酸 趣味で行っているスピリチュアル系イベントでよくその単語を耳にするようになってから興味が出てきました。それまでもシャーリー・マクレーンの本などで気になっていましたが、その当時はまだ切実な問題ではなかったので……。学校を卒業し社会人になってから、タメ口で何でも言い合える友達が減ってしまいました。激しい孤独から、ソウルメイト的存在を求めるようになったんです。

――辛酸さんは霊感もあるそうですね。

辛酸 いえ、私ができるのは、ナンバーズのくじを当るくらいで……。

――エエッ!? スゴイですね!

辛酸 手かざしで熱を感じるんです。誰にでもできると思いますよ。


――そうでしょうか……。ほかには何か不思議な体験はありますか?

辛酸 たまに幻聴があります。この前は夜中4時に祭囃子が聴こえてきました。あとでしらべたら、ちょうど東京大空襲の日で、目に見えない何かが場をお祓いしていたのかもしれません。祭囃子がやんだ後、時計の分針が急にグルグル回りだしたのがちょっと怖かったです。靖国神社に行った後は、軍隊の行進の音が聴こえてきました。

――そういう能力がお仕事にも生かされているんでしょうか?

辛酸 原稿を送った後に、やり直しかオッケーかがなんとなくわかるくらいですね。嫌な予感がすると、たいていやり直しに……。
 

(取材・文 平林享子/クローバー・ブックス

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