このマンガ好きだったらこの小説読んでみなよー。この小説が面白いんなら、このマンガ、絶対おすすめ。そんなふうにおもしろい本の世界を倍々でひろげていきます。第21回は日本人なら魚食え! なマンガと小説を!
第21回 日本人なら魚食え対決!『大漁!まちこ船』vs『波に座る男たち』
秋も深まって、サンマの美味しい季節になりました。
冬には寒ブリ、ヒラメに、キンメダイ。春来たりなば、初鰹。夏バテ予防に土用のウナギと、四季折々の魚があるわけで、さすがはお魚大好き日本人であります。
魚の中でも、季節を問わず食べられているのがマグロです。
寿司に刺身に、日本人の大好物なマグロ。そんなマグロを巡って、日本政府が国際裁判の被告となったことはご存知でしょうか?
南太平洋におけるミナミマグロの調査漁獲が国連海洋法条約に違反する行為だとして、オーストラリアとニュージーランドの二カ国政府に訴えられたのです。
詳しくは『国際マグロ裁判』を参照いただければ、と思いますが、焦点となったのは、ミナミマグロの資源量に対する日本と豪・ニュージーランドの見解の相違です。「いままでの漁場には平均してマグロが存在する」と考える日本に対し、豪・ニュージーランドは「これまで漁獲が行われていない海域にはマグロは全く存在しない」との極端な見解を打ち出し、「ミナミマグロは絶滅種である」と結論付けました。
この裁判、日本政府が逆転勝利しましたが、もし、敗訴していれば、南太平洋で行われている調査漁獲も全面禁止とされました。現在のようにマグロを食べることは不可能になったかもしれません。そして、状況はいまだ予断を許しません。
今回は、そんな国際状況をふまえて、魚好きの日本人に贈るマンガと小説をご紹介しましょう!
『大漁!まちこ船』は、マグロの一本釣り漁を題材にした作品です。
無口で小柄な少女、まちこ。
まちこの仕事はマグロの餌。
まちこは、中村船長の合図で海に飛び込む。
釣り針をくわえて。
マグロに食われるために。
……なんでしょう? この話は。
筋骨隆々、男性ホルモンも過剰で体毛は満開な海の男・中村船長と、脱サラして漁を始めたポンポン蒸気船「スローライフ号」の小川船長(眼鏡青年)、対照的なふたりの間で少女まちこの心が揺れ動く物語……と書いたところで、『大漁!まちこ船』の奇妙奇天烈ぶり、シュールさ加減の一割も伝わるとは思えません。
まちこはいったい何者なのか? なぜコスプレをして海に飛び込むのか? これはエロのつもりなのか? とにかくツラがスゴすぎる! あー、この作品はなんなんだ!
「海を なめんなヨォォッ!」
とにかく現物を読んでみてください!
鯨をとりまく状況もなかなかたいへんです。
2005年6月、韓国はウルサンで開催された第57回国際捕鯨委員会(IWC)年次会議において、日本の提案はすべて否決されました。商業捕鯨の再開どころか、調査捕鯨の拡大についてもむつかしいようです。
捕鯨反対に向かう世界世論に反旗をひるがえす作品が『波に座る男たち』。任侠道を貫くがゆえにビンボーなヤクザ一家が、借金のかたに取り立てた捕鯨船に乗りこんで「日本の食文化を守るため」クジラ捕りにジョブチェンジするというお話です。
古風なヤクザとクジラ捕りは相性がたいへんよろしいです。船首に砲台がついた捕鯨船はいかにも強そうで、オトコごころをくすぐるし、対するは海の巨獣、相手にとって不足はありません。見事勝利を収めて闇市場に売り払えばウン千万。一発当てれば大もうけ。バクチ性も激高です。
登場するのは、曲がったことは大嫌いな大親分に、頭は悪いけど気持ちはよいヤクザ連中。助っ人として、老人ホームから呼び寄せた伝説のスナイパー、あれ? ホステスじゃなかったの? なスーパー美女。こんなゆかいな面々が、超過激環境保護団体「クリーンアース」、仁義知らずの香港マフィアと丁丁発止を繰り広げる。野郎ども、かかれー! という光景が目に浮かぶようです。
もうすぐ公開の映画『この胸にいっぱいの愛』(公式サイト)、大ヒットを記録した『黄泉がえり』(DVD)と、映画化された作品しか知らないかたは意外に思うかもしれませんが、梶尾真治は、スラップスティックでハチャメチャなノリも得意とする作家さんです。この『波に座る男たち』もそんな感じ。巻頭にて献辞されてましたが、故・岡本喜八監督に撮ってもらえたらよかったのに、という痛快きわまるピカレスク・コメディであります。
それにしても、大場会長には一言言いたい。
あなたの任侠道は、正しいけれど、まちがっている!
冒頭からの流れなら『まぐろ土佐船』紹介するだろーとか、そもそもクジラって哺乳類だろーとかいうツッコミはすべて却下しますよ! と書いて今回もオシマイ。
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