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2004/8/10 Vol.160
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今週のテーマ  江戸の闇へとご招待!
大江戸魔界散歩
4 調査リポート3: 全国ご当地妖怪案内
ムラコ
ムラコ
 
  怪談だけでなく、「妖怪」というイメージも江戸時代に完成したといわれています。自分の住んでる地域、出身地域にはどんな妖怪がいるのでしょうか? 全国各地に伝わる数多の妖怪のなかから地域別に分類した“ご当地妖怪”を紹介しちゃいます。  

北海道・東北
・コロポックル【ころぼっくる】(北海道)
アイヌ語で「蕗の葉の下に住む人」という意味。とにかく小さい種族で、何のいたずらも悪さもしない。アイヌに入れ墨を教えたといわれる。

・タンコロリン【たんころりん】(青森県・宮城県)
柿の実を取らずにおいた木が化けた入道のこと。“タンタンコロリン”“柿男”“柿入道”ともいわれ、たもとから柿を落としながら町をさまよう。仙台地方または青森県弘前などに出現する。

・手長足長【てながあしなが】(秋田県)
山形県と秋田県の県境にある鳥海山に伝わる妖怪。“足長”が“手長”を肩に背負い、一体となって動く。里に降りてきては船を襲うなど人に悪さをする。会津磐梯山にも“手長足長”が住んでいたという話が伝わっており、長野県諏訪郡には“手長足長”を祀る手長神社がある。

・座敷わらし【ざしきわらし】(岩手県)
童子の姿をした妖怪で、住みつくと家が栄える。幼くして亡くなった童子の亡霊とも招福神ともいわれ、岩手県を中心として青森県・秋田県・宮城県の各地に伝わる。現代では金田一温泉の緑風荘が有名。

・朱の盆【しゅのぼん】(福島県)
別名“朱の盤(しゅのばん)”“首盤(しゅばん)”といわれ、会津の諏訪の宮にいる妖怪。顔は朱を塗ったように赤く、額には1本の角、髪は針のようで口は耳まで裂けている。その姿を見てしまうと恐ろしさに気絶し、死にいたるといわれる。新潟県にも“朱盤”として伝わっている。

関東・甲信
・シズカモチ【しずかもち】(栃木県)
栃木県の益子地方に伝わる、夜中に餅をつく“音”の妖怪。聞こえた人は運が開け、音が遠のくと運は衰える。“隠れ里の米搗き”ともいう。

・小豆洗い【あずきあらい】(東京都)
ショキショキと小豆を洗う妖怪。東京都新宿にあった旗本の小笠原家にいたらしいが、小豆を洗う妖怪は全国各地に分布している。土地によって“小豆とぎ”“小豆さらさら”“小豆とげ”“小豆投げ”“小豆計り”などといった名前で呼ばれる。

・袖引き小僧【そでひきこぞう】(埼玉県)
道を歩いていると背後から着物の袖を引く妖怪。小僧といわれているが、姿は分からなく、ただ袖を引くことだけである。袖引き小僧は埼玉県のほかには見られないが、茨城県には裾を引く妖怪が伝わっている。

・かぶきり小僧【かぶきりこぞう】(千葉県)
小さなおかっぱ頭の小僧で、千葉県のさびしい山道や夜道に出現しては「水飲め、茶飲め」と声をかける。座敷童子の一種で、これに似た妖怪に岩手県の“カブキレワラシ”、新潟県の“カンギリッコ”がある。

・頬撫で【ほおなで】(山梨県)
山梨県道志村に伝わる怪異。夜間暗い谷間の小道を通ると暗闇から青白い手が現れ、頬を撫でるという。長野県の“顔撫で”宮城県の“びっくり坂”なども同類。

・ヤカンヅル【やかんづる】(長野県)
長野県長野地方に伝わる怪異。夜遅く森の中を通ると木の上からヤカンが下がってくる。これもれっきとした妖怪です。
東海・北陸
・コボッチ【こぼっち】(静岡県)
静岡県遠江地方で伝えられるイタチに似た獣で、谷間やグミの林に住む。磐田郡では“クダ狐”とも呼ばれる。通る人をたぶらかしたり、とり憑いたりするという。水中に人をひきこんで溺れさせるともいわれることから、河童の一種である“小法師(こぼうし)”が遠江の方言で変化したものと考えられる。

・片脚上臈【かたあしじょうろう】(愛知県)
別名“姫女郎(ひめんじょろう)”ともいい、片足の美しい女の姿をした山の妖怪。狩人の獲物を奪ったり、紙緒の草履を履いていくと必ず片方をとられる。山女や山姥の一種。

・カワエロ【かわえろ】(岐阜県)
岐阜県揖斐郡にいる河童の一種。川の中にいるときは決して姿を見せず、川底から出てくると顔が白く眉の黒い猿に化ける。人が欲しがっているものに化けてからかう。“ノシ”“カワイロ”“ガワイロ”とも呼ばれる。

・カシャンボ【かしゃんぼ】(三重県)
“火車坊”“カシャボ”“カシランボウ”など様々な別名があり、和歌山県・三重県にまたがる熊野地方の妖怪。頭は芥子坊主、青い衣を着た6〜7歳くらいの子供の姿で現れる。人なつこいが馬を隠したり、牛を病気にするなどのイタズラをする。

・桐一兵衛【きりいちべい】(新潟県)
新潟県南魚沼郡の山道に現れる妖怪。斬ると2人になり、斬りつけるごとに数が増える。“斬一倍(きりいちばい)”とも呼ばれる。
近畿
・片輪車【カタワグルマ】(滋賀県)
滋賀県甲賀郡のある村に出没する片輪の車。ひとりの美人を乗せているが、その車を見たり噂をしたり、覗き見るだけで祟られ、子供をさらわれる。京都府や長野県にも同じような言い伝えがある。

・負われ坂【おわれざか】(大阪府)
大阪府南河内の怪異。夜に坂道を通ると「負われよか、負われよか」と声がする。ある男が「負うたろか、負うたろか」というと松の丸太が乗りかかってきたのでその丸太を持ち帰り、いざ割ろうとすると狸が正体をあらわして男に詫びた、という話が伝わっている。

・尻目【しりめ】(京都府)
京都の路上に現れたという男の妖怪で“のっぺら坊”の一種。雷のように光る巨大な目が尻についている。いきなり人を呼び止めて着物を脱ぎ、尻をむけて目玉を光らす。別名“ぬっほり坊主”。

・砂かけ婆【すなかけばばあ】(兵庫県)
兵庫県・奈良県に現れる妖怪。道を通る人に砂をふりかけておどかす。姿はみせないが老婆だとされ、神社の近くにあるさびしい森陰などにひそむ。愛知県・新潟県・青森県などには“砂まき狸”“砂まき猿”など小動物が砂をまく話が伝わっている。

・じゃんじゃん火【じゃんじゃんび】(奈良県)
別名“ほいほい火”“ザンネン火”。飛ぶときに「じゃんじゃん」と音をさせる怪火。2つの火がいっぺんに飛びまわるが、これが出たときは頭を上げて見てはならない。宮崎県では“むさ火”、高知県では“けち火”などという。

・一本ダタラ【いっぽんだたら】(和歌山県)
和歌山県境の熊野山中に住む、1本足で1つ目の妖怪。12月20日のみ人間に危害を加えるとされ、熊野地方ではこの日は山入りしないという。山に棲む1本足の妖怪は全国に分布しており、“一本足”“ヒトツダタラ”“デエデエ坊”などと呼ばれる。
中国・四国
・オケツ【おけつ】(岡山県)
産婦にとり憑く。俗に“鬼子(おにこ)”と呼ばれており、形は亀に似て背に蓑毛があり、生まれるとすぐに縁の下に駆け込もうとする。早く殺してしまえばよいが、殺し損ねて産褥(産婦が使う寝床)の床下にくると産婦が死ぬ。

・おいがかり【おいがかり】(広島県)
山道を歩いていると後ろから覆いかぶさってくる妖怪。おんぶお化けの一種で広島県比婆郡などに現れる。とくに害はないので、かぶさってきたら、離れるまでじっと待つこと。

・ぬるぬる坊主【ぬるぬるぼうず】(鳥取県)
海坊主のこと。人さえ見ればもたれかかり、体の油のぬるぬるしたものをなすりつけようとする妖怪。1つ目で胴まわりが2尺あまりの杭のような姿をしている。このような体のぬるぬるした“海坊主”の話は各地に伝わる。

・ノツゴ【のつご】(愛媛県)
宇和地方で夜に山道を歩いていると、足をもつれさせ歩けなくする妖怪が現れる。姿はなく、赤子のような泣き声をたてるものと恐ろしい叫び声をあげるものがある。殺された乳幼児の霊ともいわれる。“ノツゴ”は妖怪としてだけではなく、香川県・高知県では牛の災厄を防ぐ神様として祭られている。

・古杣【ふるそま】(高知県)
高知県や徳島県に見られる怪異。夜、山中にいると「行くぞう行くぞう」という掛け声がかかり、木が倒れる物凄い音がする。音のするところに行ってみても何もない。他の土地では同じような怪異を“天狗倒し”“空木返し”と称するところがある。
九州・沖縄
・塗壁【ぬりかべ】(福岡県)
道の途中に現れて立ちふさがる壁のような妖怪。危害は加えないが通行の邪魔になる。落ち着いて一休みすると消える。同じような怪異に高知県の“野襖(のぶすま)”などがある。

・濡れ女子【ぬれおなご】(長崎県)
雨の降る夜などに、全身濡れそぼった女の姿で現れる妖怪。長崎県のほか、愛媛県などにも伝わる。人を見れば笑いかけてくるが、笑い返すと一生つきまとわれる。別名“笑い女子(わらいおなご)”。

・アマビエ【あまびえ】(熊本県)
流行病の予言をする妖怪。半人半魚の姿で髪の毛が長く、くちばしがある。アマビエの姿を写した絵をもっていると流行病を避けることができるといわれている。長崎県・佐賀県に伝わる“神社姫(じんじゃひめ)も同類だと考えられる。

・一反木綿【いったんもめん】(鹿児島県)
鹿児島県大隅地方の妖怪。一反(幅9寸長さ2丈6尺〜2丈8尺[幅約34センチ、長さ約10メートル])ほどの白い布で夜間ヒラヒラと飛来し、人の首に巻きついたり、顔面をおおったりして息の根を止めるといわれている。

・キジムナー【ぎじむなー】(沖縄県)
沖縄独自の妖怪でガジュマルの木の精霊。顔は赤く、赤ん坊くらいの大きさで全身毛でおおわれている。牛や馬にイタズラして跳びはねさせたりする。“キジムン”“ブナガイ”“ブナガヤー”“ブナガヤ”“ミチバタ”“ハンダンミー”などさまざまな呼び名がある。 ※参考文献
「妖怪事典」村上健司 著/毎日新聞社、「別冊太陽 日本の妖怪」平凡社、「図説 日本妖怪大全」水木しげる 著/講談社+α文庫

ムラコ  
こうやって見てみると、全国にはいろんな種類の妖怪がいるんですね。とはいえ、ここにあげたのは、ごくごく一部。もっと知りたい人には「怪異・妖怪伝承データベース」がおすすめです。
5研究報告:どこもかしこも妖怪だらけ!