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2004/3/9 Vol.139
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今週のテーマ  忘れじの80'sカルチャー
「ゲームブック」が復活の兆し!?
2 調査リポート1: 「ゲームブック」ってナニ?
80'sを彩った名作「ゲームブック」たち

さてさて、「ゲームブック」とはなにか、思い出しましたか? こういったイベントの繰り返しで、物語は進行していくのです。もちろんこれは一例で、作品によって独自のシステムが取り入れられています。魔法ポイントが加わって、魔法が使えるシステムであったり、武器や防具を装備して、ポイントを補うのもごく一般的なシステムだったりします。さらに、サイコロと紙と鉛筆をバリバリ使うものもあれば、何も使わなくても遊べる作品だってあります。
そこで、ここではさまざまな種類の名作を紹介いたしましょう。受験勉強中に母親に内緒で冒険を楽しんだ勉強部屋、はたまた授業中に遊んでサイコロの音で先生に見つかった思い出など、人それぞれ場面は違いましょうが、みなさん自身の青春時代を思い出しながら懐かしんでみてくださいな。

【サイコロ&筆記用具は必須! 本格型パワープレイゲーム】
モンスターとの戦闘や迷路が登場したりするので、ゲームクリアをするためにはサイコロ(ページに印刷されたサイコロイラストで代用可能)と鉛筆を使用したほうがベター。元祖「ゲームブック」である「火吹山の魔法使い」をはじめ、数々のファンタ ジー作品が採用する、スタンダードにしてパワーを要求される本格スタイルだ。
『火吹山の魔法使い』(1984年12月)
S・ジャクソン I・リビングストン著 浅羽莢子訳/社会思想社

「ゲームブック」の歴史に燦然と輝く「ファイティング・ファンタジー」シリーズ第1作。モンスターとの戦闘あり、魔法あり、迷宮ありの定番ファンタジーだ。単作もので、いきなり50万部を突破して金字塔を打ち立てた。
『ソーサリー』シリーズ全4巻(1985年7〜10月)
S・ジャクソン著 安藤由紀子訳/東京創元社

1巻『魔法使いの丘』、2巻『城砦都市カーレ』、3巻『七匹の大蛇』、4巻『王たちの冠』と続く、最高傑作と誉れ高い長編ゲームブック。魔法を使う際に呪文を覚えなければならない「スペルシステム」を採用したのは、後にも先にも『ソーサリー』だけ。
「スペルシステム」  『ソーサリー』シリーズにはしばしば次のような質問を投げかけられる。
  九九  
●見張り小屋のそばを通り過ぎようとすると、トロールが小屋の影から現れた。あなたはここで戦わなければならない。
トロール: 技能ポイント 8 体力ポイント7
●あなたが勝った場合は一七七へ進む。もしも魔法を使いたいなら、次のうちから選ぶこと。
WOK→三八六 SUN→三六三 LAM→四三一
KIL→四一四 DUM→三一七  
左例文の「WOK」や「SUN」という3文字のアルファベットは魔法の呪文なのだが、ここで使用すべき適切な呪文を選べれば、戦闘を有利に運ぶことができるというもの。各巻の巻末には「魔法の呪文の書」というものがついており、プレイヤーは、それを「覚えて」ゲームに臨まなければならない。魔法使いの「修行」から実体験できる画期的なシステムだ。
『魔界の地下迷宮』(1985年10月)
J・H・ブレナン著 真崎義博訳/二見書房

二見書房「ドラゴンファンタジー」シリーズ最大のヒット作。めざす最後の大ボス「恐怖の黒騎士」を倒すには、複雑な3階層の大迷宮を完全マッピングしなければならない本格派。家にこもってプレイする中高生が続出した。
『ドルアーガの塔』3部作(1986年7〜12月)
鈴木直人著/東京創元社

巨匠・鈴木直人氏が巨匠たる所以は、この作品からはじまった。『悪魔に魅せられし者』『魔宮の勇者たち』『魔界の滅亡』というこの3連作は、今も"名作中の名作"と呼ばれている。60階からなる「ドルアーガの塔」の迷宮を、テキストだけで表現した鈴木氏の豊かな想像力には、誰もが舌を巻くことだろう。マッピングの楽しさを実感させてくれる。
『ネバーランドのリンゴ』(1986年7月)
林友彦著/東京創元社

国産作家のもう一人の巨匠に位置する林氏の代表作。この作品のすごいところは1000というとてつもないパラグラフ数。膨大な項目が複雑に絡み合い、物語が進行していく。メルヘンチックなムードも女性から大きな支持を受けた。その人気から、この「ネバーランド」シリーズはその後3作品もリリースされた。
『死の首飾り』(1986年8月)
S・ジャクソン I・リビングストン監修 J・トムソン M・スミス著 松阪健訳/社会思想社

従来のシステムに、創始者(ジャクソン&リビングストン)自らが「時間」という要素を取り入れた野心作。このハラハラ・ドキドキ感が功をなし、半年間で8版まで版を重ねる名作となった。
『ドラゴンバスター』(1987年12月)
古川尚美/namco著 東京創元社

ナムコの人気アクションRPGのゲームブック化作品。ファミコンゲームをブック化なんて……と侮るべからず。本編には、とてつもないファンタジーの世界が広がっている。寺田克也氏のイラストとともに、バリバリの本格派として名高い名作。

【正しい判断力だけがカギ! イベント志向型ストーリーゲーム】
ここから紹介する「ゲームブック」では、サイコロや筆記用具を必要としない。ストーリーを読み進めながら、推理力、判断力を充分に働かせて正しエンディングに導くスタイルだ。それぞれがこれといったシステムは持たない。すなわち「名作」と呼ばれるには、シナリオの充実度が要求される。
『グーニーズ』(1985年12月)
ハリー・リンド著 島田晴彦訳/二見書房

知る人ぞ知るスピルバーグ映画をモチーフにしたイベント志向型の名作。筆記用具を使うのは、「自宅がゴルフ用地にされてしまうまでの残り時間」だけ。運に惑わされることなく、「読者と本の知恵比べ」を本気になって楽しめる。もしかしたら映画以上に面白いかも!?
『シャーロック・ホームズ 10の怪事件』(1986年1月)
ゲイリー・グレイディ スーザン・ゴールドバーグ レイモンド・エドワーズ著 各務三郎訳/二見書房

推理アドベンチャーゲームの名作中の名作。……と一言で言うと少々アレだが、これは世界中のゲーム大賞を受賞しまくったという、世界規模での逸品だ。地図と住所録と新聞記事を見ながら推理を進めていく構成。
『展覧会の絵』(1987年10月) 
森山安雄著/東京創元社

サイコロと筆記用具は微妙に使うが、ちょっとしたメモ程度でよい。とにかくストーリーが秀逸。記憶を失った主人公(=あなた)はいったい何をしようとしていたのか? ここはいったいどこなのか? 町から町へ旅を続け、その答えを見つけ出さなければならない。
『送り雛は瑠璃色の』(1987年10月)
思緒雄二/教養文庫

サイコロと筆記用具を全く使わないイベント志向型のなかで、最も有名な作品。民話・陰陽道・和歌が渾然一体となった、他のゲームブックには類を見ない日本的雰囲気を醸し出している。最も小説に近いという意味で、ビギナーでも抵抗なくプレイできるといえる。

今もサイトで応援し続けている熱烈なファンたち

あれだけのムーブメントを起こした「ゲームブック」ですから、本当に好きなファンからすれば、その消滅はさぞ悔しかったことでしょうな……。あれから10年、15年が過ぎ、周りを見渡せば今はインターネット大時代。当時は"泣き寝入る"しかなかった彼らが、今、自分たちで行動を起こしています。下で紹介するサイト「さいろす民芸資料館++」内の「ゲームブック復刊同盟」というコーナーなんかは、その名前からして、愛する「ゲームブック」に対する意思の表れですな。ここではそんな、この15年の「ゲームブック暗黒時代」を、変わらぬ愛で支え続けてきたファンたちのサイトを紹介しましょう。

さいろす民芸資料館++
プログラマーのサイロス誠氏が運営する、プログラム関連、探偵ゲーム関連、そしてゲームブック関連の話題をまとめたサイト。なかでも「ゲームブック」に関する知識は大変深く、自らも「ゲームブック復刊同盟」というコーナーで、「1)ゲームブックの復刊をお願いする熱ーいメッセージを送信する 2)ゲームブック復刊(&新刊刊行)を行う企業へ熱ーい応援メッセージを送信する」といった活動をしている。
鈴木直人伝説
巨匠・鈴木直人氏ファンサイト。もとは「行方不明」とされていた鈴木直人氏の「いらぬ詮索」をするサイトだったが、創土社『チョコレートナイト』(氏の10年ぶりの著作)発刊からはバリバリの応援サイトに。巨匠の巨匠たる所以を勉強しよう。「鈴木直人用語辞典」はビギナー必見。
ゲーマニ
「ゲームブック・マニアックス」の略。「週刊ゲーマニ」というメルマガを、なんと2年半も前から発行しており、毎週1冊ずつ、懐かしのゲームブックを紹介している。これらはすべてサイト内のデータベースにまとめてあるので、当時のファンが見れば「こんなのあったなぁ……」「懐かしいなぁ……」と、ため息の連続となるはずだ。
剣社通信
ここ2年で6冊の名作ゲームブックを復刊・新刊した創土社の書籍担当(「調査リポート2」で登場)が、上司に内緒(?)でオープンしているサイト。復刊情報がリアルタイムでわかるので、ファンは要ブックマークだ。
3調査リポート2:そもそも「ゲームブック」はなぜ滅びた?