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2004/2/17 Vol.136
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エキニュー総研 エキニュー総研スタッフ
今週のテーマ  たっぷり塩素で殺菌、温泉法は盲点だらけ
いま、日本の“温泉”が危ない!!
2 調査リポート1: 温泉はおかしくなったのはナゼ!? 現状を考える

ナキャノ
ナキャノ
 
  “湯治”に代表されるように、「温泉=カラダにいい」と信じきっていた我々。そもそも、温泉を疑うなんて発想すらなかったはずだ。だが、いろいろと調べているうちに、事態は我々の想像を越えたところまで悪化していた。温泉好きにはショッキングな内容になるかもしれないが、温泉の現状から目を背けてはならない。現状を、そして真相を知ることが“ホンモノの温泉”を救うことにつながるのだから――。  
参考文献
『温泉教授の温泉ゼミナール』(松田忠徳著・光文社新書)
『これは、温泉ではない』(松田忠徳/光文社新書)
『温泉力』(松田忠徳/集英社インターナショナル)
 
「24時間100%天然温泉」という表現のカラクリ

 考えるまでもなく、温泉というのは本来「100%天然温泉」のことである。いや、ことであったと書くのが正しいだろう。では、なぜこんな表現をするのか? もし、我々が思い浮かぶような温泉、つまり近くの泉源から湧き出たお湯をそのまま湯船にかけ流ししている「ホンモノ」であれば、こんな表現をせずに「温泉」でいいはずだ。というか、逆に考えると「天然じゃない温泉」が存在しているということにもなるのだが……。
 後に触れるが、温泉とは環境省が定めた温泉法によって定義されている。現在、まがいものの温泉が横行している背景には、この法律が施行された昭和23年には想定されていなかった事態が起きていることを意味している。つまり、現在ではザル法に近いのだ。
 たとえば、源泉地からタンクローリーで温泉を運んできて営業しても「100%天然温泉」、水道水で薄めても「天然温泉」、そのお湯を1週間も交換せずに濾過し、殺菌して使い続けても「24時間100%天然温泉」と名乗ることができるのだ!
  「でも、温泉には成分表が貼ってある」という反論もあるかもしれない。しかし、表示している成分表はあくまで源泉の成分であって、湯船に入っているお湯の成分ではないのだ。ちなみに、愛知県内の温泉を使用している施設の34%はタンクローリー湯である……。

その「温泉」で“お肌がツルツル”になるのか?

  「近場で便利に温泉に入れればタンクローリーでも構わない」という意見もあるかもしれない。そこで問題になるのは、殺菌剤として温泉に投入される塩素の問題である。
 水道水にも殺菌のために入れられている塩素は、プールにも入れられている殺菌剤である。菌(生物)を殺すものが人体にいいはずはない。プールから出ると目が赤く充血する、水道水に金魚を入れると死んでしまうなど、体験したことがある人もいるだろう。
 飲まないから大丈夫? 米国ピッツバーグのJ・アンデルマン教授は「15分間の入浴とシャワーは、1リットルの水道水を飲むことに等しい揮発性汚染物質の摂取量となる」と発表した。そう、塩素は飲むよりはるかに皮膚から体内に吸収されやすいのだ!
 また、塩素は水に溶けると様々な化学反応を起こし、強力な活性酸素となる。それが皮膚や身体を酸化、つまり老化させたり傷つけることになる。また、塩素処理によって発ガン物質であるトリハロメタンが生成されるのは常識だ。最近ではアトピーとの関連や、脱色したような赤い髪色の人達が増えている原因とも言われている。
 近場の温泉でもお肌がツルツルになる――それは塩素によって、お肌がボロボロになっているのを勘違いしているだけなのかもしれない……。

「温泉」が銭湯やプールと同じく塩素入りで循環!?

 ではなぜ、塩素での殺菌が必要なのか? それはバブル以降、急激に温泉施設が増えたことと無関係ではない。というか、平成になってできた温泉の大多数が、塩素なしでは成り立って行かないだろう。なぜなら、それらの施設が「循環式」の温泉だからである。
「24時間100%天然温泉」のところでも触れたが、循環式とは源泉のお湯を濾過して何度も(何日も)再利用することである。経営者側には、掃除の手間が省けるうえ、少ない湧出量でも大きな入浴施設を作ることができるというメリットがある。
 だが、当然濾過した後には殺菌、加温という作業がつきもの。殺菌のところで塩素が使われるわけだが、それらを何日も繰り返したお湯は「温泉」と呼べるのだろうか?
 町の銭湯であれば1日1回はお湯を抜くことが義務付けられているが、温泉に関してはそのような規定はない。昔は、お湯を抜いて毎日清掃するのが常識だったからだ。
 ここで想像してみよう――1日に何千人も訪れる人気の温泉施設がある。何千人分の汗や垢が殺菌、濾過されて、また次の日に何千人もお風呂に入っていく。お湯を完全に変えるのは週に1回、あるいは月に1回だとしたら――そんなの、温泉じゃない!

循環式&塩素に頼らなければならないのはナゼ?

 だいたい、湯口から湯船にジャンジャン温泉が流れているのに、湯船からお湯があふれ出ていないのは不思議じゃないか? もちろん、湯量が豊富で新鮮なお湯をかけ流しにできる「ホンモノの温泉」であれば、塩素など必要ないのは言うまでもない。
 ただし、循環式がすべて悪いとも限らない。殺菌・濾過のためではなく、ゴミの除去や加温のために循環方式を採用している温泉もあるからだ。また、貴重な源泉の資源を節約する目的のため、苦肉の策として循環させているところもある。もちろん、脱衣所の扉を開けた瞬間、塩素の鼻をつくニオイがするというところは論外だ。
 そもそも、もともと温泉が湧き出ていないところを無理やり掘って、ポンプで汲み上げた地下水を「温泉」と呼んでいるわけだから、温泉の持つ効能なんて期待できない。このまま放置しておけば、さらに「もともと温泉力が弱い→無理やり汲み上げる→湯量も少ないor減少→循環式に頼る(→新しい温泉の名前や施設にひかれて消費者が集まる→商売繁盛)」という、消費者の無知に付け込んだ図式が成り立っていく。こんなことが許される元凶が、ユルい温泉法とそれにつけ込む温泉業者なのだ。
2調査リポート2:温泉法が許した「まがいもの温泉」の罪